新潟県における園芸状況<新規就農希望者、農業法人経営者の皆様へ>

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はじめに

「米や野菜、くだものなどを自分で育てたい、そして、安心安全な農作物を消費者にお届けし、喜んで食べてもらいたい。」
例えば、このような動機から新規に就農をお考えの方もいらっしゃると思います。

一方で、農業は収入が不安定休みが不定期となりがち、など農業に参入するにあたってご不安をお感じの方も多いと思います。
また、このことをすでに経営課題として持っている農業法人経営者の方も多いと思います。

インターネットが発展した現代社会では、様々な情報が行き交います。そこでは、「情報を取捨選択する」判断が求められます。
検索をすれば求めている情報にたどり着きやすい反面、その情報が正しいかどうかを自分で判断する力が求められることになるのです。
その判断は今まで積み上げてきた経験などによってすることになりますが、未経験の分野については判断できる基準が持てていないため、あらゆる情報がどれでも正しく思えてしまう傾向にあります。

新規に就農したい気持ちはあっても、不安な気持ちもある…
従業員に収入や労働時間について安心をして農作業に取り組んでもらうための整備が必要…

まずは、農業の全体像を把握し、そこからの事実や数字を参考にしながらどの制度(新規就農者支援、新潟県単位補助金、農林水産省補助金など)を活用していくのかといった判断を積み重ねていくことがとても大切であると考えています。

そこで、この記事では新潟県の園芸状況(令和5年3月)をご紹介します。必ずしも実態を正確に示しているとは言えないかもしれませんが、新潟県が公表している基礎資料ですので、事実や数字を把握する上で参考のひとつにはなると考えます。

新規に就農したいとお考えの方や農業法人経営者の方にとって少しでも参考になれば幸いです。


新潟県の園芸状況

新潟県では、農業産出額(令和3年)構成比の内訳として、「米」55.2%、「畜産」22.2%、「野菜」14.5%、「果実」4.0%、「花き」3.0%と続いています。全国の構成比と比較すると、新潟県は「米」に対する構成比率が高いことが分かります。そして、新潟県は「米どころ」と言われる理由がこの数字に表れています。

次いで、「畜産」や「野菜」の構成比率も高い傾向にあります。畜産業とは、家畜を飼い利用する産業であり、人が食べることのできない草や穀物を、良質なタンパク質(牛乳、肉、卵)に換える産業のことをいいます。新潟県においては、下越地方を中心に全県下で行われており、県全体の農業産出額のうち約20%を占めていることから、米に次ぎ、園芸に並ぶ生産をあげていることが読み取れます。

また、その土地の気候風土の特長を生かしながら、昔から栽培され、そこに住む人々の食生活に結びついた野菜も多く栽培されており、伝統野菜、地方野菜などと呼ばれています。新潟県には伝統野菜・地方野菜が、なす、菜類、うり類などで数十種類あるといわれており、伝統野菜・地方野菜は一般的に、栽培に手間がかかるなど生産に不利な面がありますが、新潟県内には産地の特色を活かし、独自のブランドを築き上げた野菜があります。

「果実」は構成比率4.0%ではありますが、ももや日本なし、ぶどうにルレクチェ、さくらんぼやかきと実に多くのくだものが栽培されており、主産地は新潟市南区・西蒲区・江南区・秋葉区、加茂市、燕市、三条市などとなります。

「花き」には、「チューリップ切り花」があり、令和2年の産出額は5億円となっており、日本一の産地として全国各地の市場へ出荷しています。主産地は新潟市、胎内市、新発田市となります。また、魚沼市、津南町、村上市を主産地とする「ユリ切り花」もあり、作付面積日本一を誇ります。豪華絢爛なオリエンタル系ユリと繊細優美なLaユリ、スカシユリが、全国各地の市場に出荷されています。

ユリチューリップ

 

 

 

 

参照:「新潟県の園芸 令和5年3月 新潟県農林水産部農産園芸課」

農業構造の動向

基幹的農業従事者の年齢構成

新潟県における基幹的農業従事者の年齢構成(令和5年)は以下の通りです。
基幹的農業従事者とは、15歳以上の世帯員のうち、ふだん仕事として主に自営農業に従事しているものをいいます。

70歳以上:64.7%【全国 58.7%】

60~69歳: 20.9%【全国 20.9%】

50~59歳:    6.4%【全国 9.0%】

40~49歳:    4.5%【全国 6.7%】

30~39歳:    2.4%【全国 3.8%】

29歳以下:    0.8%【全国 1.0%】


【結論】

20年後の基幹的農業従事者の中心となる層(29歳以下~59歳)は、新潟県で14.1%【全国20.5%】となる。

令和5年における基幹的農業従事者数は全国116万人で、平均年齢は68.4歳(令和4年)。

今後10~20年先を見据えると、基幹的農業従事者数は大幅に減少することが確実であり、生産基盤の弱体化が危惧される。

参考資料:農林水産業をめぐる諸課題と今後の農業農村整備

新潟県における経営承継や新規就農者の状況

<①令和3年度新潟県農林水産部調査による新潟県における新規就農者の年齢別雇用形態(対象は15歳~44歳)>

10代 親元就農者 20名(34%) 独立・自営就農(新規参入)者 9名(16%) 農業法人等就農者 29名(50%) 計58名

20代 親元就農者 24名(19%) 独立・自営就農(新規参入)者 2名(0.02%) 農業法人等就農者 99名(79%) 計125名

30代 親元就農者 32名(30%) 独立・自営就農(新規参入)者 11名(10%) 農業法人等就農者 64名(60%) 計107名

40代 親元就農者 14名(39%) 独立・自営就農(新規参入)者 2名(0.05%) 農業法人等就農者 20名(56%) 計36名


<②親元就農者の営農類型(H30~R4)>

水稲単作 37%

園芸複合・園芸専作 59%

畜産等 4%


<➂新規参入者の営農類型(H30~R4)>
新規参入者とは、経営基盤がない状況から資産等を調達し、新たに農業経営を開始した者をいいます。

水稲 14%

露地野菜 28%

施設野菜 12%

果樹 9%

花き、酪農等 4%

水稲複合(例:水稲+露地野菜) 18%

園芸等複合(例:露地野菜+施設野菜) 15%


【結論】

➀新潟県の新規就農者(45歳未満)に占める農業法人等就業者の割合は約65%と、全国の新規就農者(49歳以下)に占める新規雇用就農者(新たに法人等に常雇いとして雇用され農業に従事した者)の割合(45%程度:農林水産省新規就農者調査)と比べ大きい。

➁新潟県の営農類型をみると、親元就農では園芸との複合経営や園芸専業が約6割で、新規参入者をみても水稲専業は約1割と少ない。

参考資料:農林水産業をめぐる諸課題と今後の農業農村整備


さいごに

新規就農者の方へ

まずは、独立・自営就農(新規参入)するにあたって、「何を栽培するのか」「どこで栽培するのか」「家族の了解は得られているのか」といったことはとても重要な内容です。

次に、「農地の確保はできるのか」「資金の確保はできているのか」「営農技術の習得はどのようにするのか」といったテーマを解決していきます。

「新規就農者の就農実態に関する調査結果(令和3年度)一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センター」によれば、新規就農者が抱える農業経営の課題として、「所得が少ない」「技術の未熟さ」「設備投資資金の不足」「労働力不足」といったものがあり、生活面での課題として「休暇が取れない」「健康上の不安」といったものがあります。このような事実があるということを「知る」ことが大切となります。
調査結果等 | 調査・統計 | 農業をはじめる.JP (全国新規就農相談センター) (be-farmer.jp)

統計数字上、農業法人等就農者の割合が高いことから、「所得を確保したい」、「技術を業務を通じて磨きたい」、「設備投資資金を考えなくて済む」、「労働力不足を考慮しなくてよい」ことなどの理由から、独立・自営就農(新規参入)型をはじめから選択しない新規就農者の傾向が読み取れます。

このことから、独立・自営就農(新規参入)型ではなく、農業法人等へ就農することで新規就農を果たす選択肢も考えられます。

農業法人経営者の方へ

ここ近年の生産資材費の高騰、米穀や果樹における高温障害等、農業を取り巻く環境の変化は私たち農業経営に大きな影響を与えています。そのようななか、例えば、マニュアスプレッダーやコンバイン、乾燥機等の機械更新に係る費用については、補助金の活用をご検討されている方が多いと思います。

多くの方は代表者ご自身で県単補助金や国直轄補助金の申請書や添付書類を膨大な時間をかけて準備し、申請をされていることと思います。

当事務所は、申請が面倒で難しい、採択されるように手伝ってほしいといった代表者様のご要望に数多くお応えしております。

また、例えば、今後法人化をお考えであったり、または既に法人化をされている中で、主に代表者の方が補助金申請書の作成に取り組むというよりは、組織強化の一環として、従業員様に補助金申請書の作成を任せたいとお考えの方もいらっしゃると思います。

しかしながら、最初からすべてを任せることが不安だというお気持ちもあるかと思います。

そこで、当事務所は、農業における県単・国直轄補助金の申請を数多く預かり採択を頂いてきた経験を生かして、貴社の組織強化の一環として、従業員様の補助金申請をお手伝いさせていただきます。

このことは、貴社の耕作面積拡大等に伴う組織拡大に備えた組織強化へつながります。申請のお手伝いをさせていただくなかで、必ず代表者様へ状況を報告させていただいておりますので、ご安心下さい。

【当事務所が関わって採択された主な補助金類型例】

・令和5年度新潟県農林水産業総合振興事業 園芸生産促進(新潟県単位補助金)
・国内肥料資源活用総合支援事業 国内肥料資源活用総合推進支援(農林水産省補助金)
・産地生産基盤パワーアップ事業のうち国産シェア拡大対策(麦・大豆機械導入対策)(農林水産省補助金)

以下に県単補助金、農林水産省補助金に関するページをリンクいたしますので、ご参照下さい。

県単補助金新潟県農林水産業総合振興事業(補助金交付要綱・実施要領)について – 新潟県ホームページ (niigata.lg.jp)

農林水産省補助金
➀国産シェア拡大対策(麦・大豆) 例:乾燥調製施設等の導入、ストックセンターの整備等
小麦・大豆の国産化の推進(令和5年度補正予算):農林水産省 (maff.go.jp)

➁機械施設等の導入支援
産地生産基盤パワーアップ事業関係情報:農林水産省 (maff.go.jp)

➂その他補助事業参加者の公募
補助事業参加者の公募:農林水産省 (maff.go.jp)


当事務所は、これからも農業者の方へ向けた情報の発信に努めてまいります。

新規就農や営農活動に少しでもご不安がありましたら、お気軽にご相談ください。

お問い合わせ – アクシアークス行政書士事務所 (axiarqs.com)

桃の花

 

一人ひとりに寄り添ったご提案をいたします。

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