目次
前回までのおさらい
前回の記事では、農地転用手続について、その手続の順序とその概要(項目1.2.3まで)を記述してきました。
農地転用手続の順序ついて<農地の転用をお考えの皆様へ>➀ – アクシアークス行政書士事務所 (axiarqs.com)
以下の記事では、農地転用許可制度の概要を記述しています。
農地を転用する場合に必要となる手続について<農地の転用をお考えの皆様へ> – アクシアークス行政書士事務所 (axiarqs.com)
手続きの順序
- 対象となる農地の調査
- 農地の転用が可能かどうかの調査
- 農地転用が可能である場合に手続が必要となる関係行政機関の調査
- 農業委員会及び関係行政機関との事前の打ち合わせ
- 申請書類及び添付書類の作成準備・確認
- 関係行政機関へ必要書類の提出/農業委員会へ必要書類の提出
- 調査会への出頭
- 区部会及び総会による承認
- 承認を経て農地転用許可が下りる
農地を転用しようとする場合、概ねこのような手続の順序となります。
<4.農業委員会及び関係行政機関との事前の打ち合わせ【重要】>
ご自身が所有されている農地が転用可能な農地に当たる場合、転用内容について農業委員会や関係行政機関との事前の打ち合わせに入ります。
この事前の打ち合わせが申請手続を経て許可が下りるか否かの分岐点です。
転用内容によっては、土地改良区や市区町村といった関係行政機関へ必要書類を提出しなければなりません。
それらの必要書類は、農業委員会事務局へ提出する書類を準備していくことと並行して準備をしていくことになります。
農業委員会事務局や関係行政機関の職員は手続のプロですから、非常に丁寧に道筋を教えてくれます。
されど、丁寧に教えてくれるその内容は、農地法をはじめとする諸法令に基づくものであることから、初めて聞いて全てを理解ができる一般の方は多くはないと思います。
また、普段はお勤めをされている方や日中農作業をされている方にとって、打ち合わせとはいえ、何度も農業委員会事務局や関係行政機関へ赴くことは容易ではないと思います。
この事前の打ち合わせに関しては、ぜひご自身だけで抱え込まないようにして頂きたいと思います。
<5.申請書類及び添付書類の作成準備・確認>
打ち合わせ内容に沿って申請書類や添付書類を作成していきます。
例えば、新潟市農業委員会へ農地法第4条許可を申請する場合に必要となる申請書類及び添付書類は以下のようになります。もっとも、事案によって求められる書類が変わることもありますので、十分にご注意ください。
【参考】
農地法第4条許可:農地の所有者はそのままで、農地を農地以外の目的で利用する場合です。
例えば、①農地に資材を置く、②自宅敷地を農地まで拡張して跡継ぎの息子夫婦を迎えること等です。
<申請書類>
農地法第4条第1項の規定による許可申請書
<添付書類>
-
- 申請者が法人にあっては、法人登記事項証明書及び定款又は寄附行為の写し
- 申請土地の全部事項証明書(登記簿謄本)
- 申請土地に係る地番を表示する図面
- 申請土地の位置及び附近の状況を表示する図面(縮尺は1/50,000ないし1/10,000程度)
- 申請土地に建設しようとする建物又は施設の面積、位置及び施設物間の距離を表示する図面(縮尺は1/500ないし1/2,000程度)
- 申請土地が土地改良区の地区内にある場合には、当該土地改良区の意見書
- 資金調達についての証明
- 所有権以外の権原に基づいて申請する場合には、所有者の同意があったことを証する書面、申請土地に地上権、賃借権等に基づく耕作者がいる場合には、その同意があったことを証する書面
- 当該事業に関連して法令の定めるところにより許可、認可、届出等を要する場合においてこれを了しているときは、その旨を証する書面
- 当該事業に関連する取水又は排水につき関係権利者の同意を得ている場合には、その旨を証する書面
- その他参考となるべき書類
このように多くの書類を準備し、新潟市農業委員会事務局へ提出することになります。
その他、手続が必要となる関係行政機関がある場合、申請書類及び添付書類の準備を同時に進めて関係行政機関へ提出していくことになります。
これらの申請書類や添付書類の内容は、法令に基づくものであり、専門的な知識が要求されるところに特徴があります。
参照:農地法4・5条関係添付書類 新潟市 (niigata.lg.jp)
<6.関係行政機関へ必要書類の提出/農業委員会へ必要書類の提出>
農業委員会へ必要書類を提出する場合には、期限に注意が必要となります【重要】。
例えば、新潟市農業委員会南区事務所の場合、申請期限が設けられています(月の上旬頃で設定されています。)ので、いつでも書類の受理をしてもらえるわけではありません。
そこで、土地活用のスケジュールから逆算をして、申請(届出)期限までに必要書類を準備しておくことが求められます。
<7.調査会への出頭>
申請期限までに必要書類を提出した後、農業委員会の調査会へ出頭し、転用理由などの聞き取りが行われます。
例えば、新潟市農業委員会南区事務所の場合、書類提出月の下旬頃に調査会が開催されます。
農業委員会事務局や農業委員、農地利用最適化推進委員の方々から質問を受け、それらに応答していく形式となります。
本人が出頭する場合と行政書士が代理人として出頭する場合があります。
<8.区部会及び総会による承認>
調査会が終わりますと、申請内容が上程され、区部会、総会において問題がなければ申請内容が承認されることになります。
ここでは、申請者及び代理人が出頭する必要はありません。
<9.承認を経て農地転用許可が下りる>
区部会、総会において問題がなく申請内容が承認されると、正式に農地転用許可が下ります。
この農地転用許可が下りて初めて工事等に着手ができますので、このことにも注意が必要となります【重要】。
さいごに
「田や畑を耕作目的以外に使いたい…、早く工事を始めたい…、許可を受けたが、気が変わり当初の内容とは違う目的で使いたい…等」の土地利用の目的によってお悩みをお抱えの方も多いと思います。
農地転用手続では、許可申請書に転用計画を具体的に記入することが求められますし、また、転用に際して行う被害防除策の概要も具体的に記入をすることが求められます。さらに、許可申請書の内容を立証するための多くの添付書類を用意する必要があり、提出機関等との打ち合わせも必要となります。
一般の方にとりまして、このように各方面との打ち合わせをはじめ、許可申請書やその内容を立証するための多くの添付書類を整えていくために、多くの時間や労力をかけることに対しては多大なご負担をお感じになられることと思います。
それでもご自身の利用目的に沿った土地活用に対しては、原則として、農地法等の関係法令によって農地を転用することへの規制が設けられています。
農地の転用につきまして、少しでもご心配なことがありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。
お問い合わせ – アクシアークス行政書士事務所 (axiarqs.com)