はじめに~実例紹介
実際にあった事案です。(参照:令和5年10月5日(木)三條新聞)
酒類小売のA社は、酒類販売業者として、店頭小売に加え、卸売業務も行い、令和4年9月期には売上高約1億円を計上していた。
しかし、令和4年10月に酒類販売免許を巡る税務署の指摘を受けて、小売以外の事業ができなくなり、これ以降の売上高は激減した。
また、この事態を重くみた金融機関の支援が受けられず、県保証協会が代位弁済を実行するなど資金繰りもひっ迫していた。
こうした中、裁判所より破産手続開始決定を受けた。
行政による許認可があって初めて成立する事業にとって、許認可の失効等はまさに死活問題です。
この事案からお伝えしたいことは、許認可の管理は何よりも優先しなければいけないということです。
そもそも、許認可とは何でしょうか?
許認可とは、ある特定の事業を行うために必要な許可又は認可のことをいいます。行政機関(都道府県庁や警察、農業委員会等)に申請をし、要件を満たせば取得できます。
許可が必要な事業等でありながら、許可を得ずに事業等を行うと刑事的罰則が科せられます。
許認可の申請には、以下の4つの種類があります。
届出:行政機関に届出をすることで営業等ができます。
登録:行政機関に申請し、公簿に登録されることで営業等ができます。
認可:個人や企業が行う行為に対し、行政庁(都道府県知事等)の同意がないと成立しない場合に申請します。保育園の設立やバスの運賃変更、公共料金の変更等が該当します。
許可(免許):一般的に法律で禁止されている行為に対し、行政機関の審査に合格し適法と認められた場合に営業等ができるようになります。要件を満たしているかの審査には時間がかかります。
それでは、なぜ許認可制度があるのでしょうか?
日本国憲法第22条第1項には、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と規定されています。
参照:日本国憲法 | e-Gov法令検索
日本国憲法第22条第1項では、何人も「職業選択の自由を有する」と規定されていますが、職業の選択ができるだけでは経済活動の実質的な自由を確保することはできないため、日本国憲法第22条第1項では職業選択の自由を根拠に「営業の自由」も保障されると解釈するのが判例・通説の考え方となります。
このことから、職業選択の自由、営業の自由は、基本的人権として保障されていることから、私たちがどのような経済活動をしようが原則自由です。
職業を自由に選択でき、そして、営業をすることの自由もまた憲法で保障されているにも関わらず、例えば、酒税法によって酒を販売する場合には許可を受けなければならないとされています。
つまり、法律によって自由が制限されていることになります。
このような許認可制はなぜ許されているのでしょうか?
それは、職業選択の自由、営業の自由は、日本国憲法第22条第1項にもあるように、「公共の福祉」を理由とすればある程度制限されることが予定されているからです。
「公共の福祉」による制限とは、要するに、経済活動を自由にすることで社会公共の安全や秩序に弊害が生じる場合にその弊害を取り除くために許容されると考える制限のことや、経済的な弱者を保護するという社会国家の理念に基づいた制限のことをいいます。
このような制限を設けることは憲法上認められていることから、必要がある制限は法律等によって整備されます。
このことから、私たちの経済活動の一部は、法律等によって制限されていることになります。
制限を整備した法律等の手続に沿ってその制限を解除する作業が、許認可申請手続(例:酒類小売業免許申請手続、酒類卸売業免許申請手続)となります。
つまり、許認可制度は、私たちの自由を制限しつつも、私たちを守るためにあるともいえます。
許認可を取得することは、行政から世間に迷惑をかけないであろうお墨付きをもらえたことと言え、一般的に禁止等されている経済活動ができることに加えて、対外的な信用力も増すことになります。
裏を返せば、許認可の管理がずさんであったり、許認可の効力を失わせることがあったりした場合、経済活動が制限され、対外的な信用力を失うことになります。
まさに、実際にあった事案のように、一般的に禁止されている経済活動を許可を得ずにしていた、又は、許可を得ていたが、許可の効力を失わせたことによって経済活動が制限された場合、金融機関等の対外的な信用を失い、最終的には破産手続開始決定を受けるまでに至ってしまいます。
さいごに~当事務所の強み
会社等が保有している許認可は、会社事業を円滑に進めるための屋台骨です。
上で記述した事案は、許認可を大切に管理することが会社を守ることにつながるということを伝えてくれている事案です。
〇手続きを自分でしようと思ったが、思っていた以上に用意をする書面が多くて時間がかかるために大きな負担を感じている。
〇仕事の合間などで許認可を取得するために必要なことを理解することが難しい。
〇手続きをすることが初めてなので、役所の職員と打ち合わせなどをすることに不安を感じている。
〇手続きに時間をとられたくないと感じている。
〇申請期限があるときに、仕事をしながらその期限を意識して、期限までに必要書面を整えなければいけないことに大きな負担を感じている。
〇申請後も必要となる手続き申請を管理してくれる専門家を探している。
〇業界で勝ち抜くための伴走者として、話を親身に聞いてくれて、提案をしてくれる専門家を探している。
〇月に1度のペースで訪問してもらい、書類の確認などをしてもらいたい。
〇法改正への理解や書類様式の変更につき多くの労力がかかる。
このようなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?
【当事務所の強み①】
ご提案
顧客様からのご相談による行政手続きの他に、顧客様にとって必要となる行政手続きがある場合には、その手続内容について積極的にご提案いたします。
【当事務所の強み②】
期限の管理
行政手続きには申請期限が設けられているものがあるため、その期限から逆算をして、計画的で余裕をもった必要書面の準備をサポートいたします。
期限が設けられていない申請についても、準備期限を設定することで、必要な書面への計画的に余裕をもった準備をサポートいたします。
当事務所は、提案力・管理力という強みを生かして、手続きの側面から顧客様の事業を支えてまいります。
許認可の維持管理に少しでもご不安なことがありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
お問い合わせ – アクシアークス行政書士事務所 (axiarqs.com)