農業法人の種類(株式会社/農事組合法人)<農業法人設立をお考えの皆様へ>

ルレクチェ畑

はじめに

安定した農業経営をめざすには、農業を効率的に行う仕組みが必要となります。

少子高齢社会の到来によって、現在、家族経営で農業を継続していくことが難しくなってきている局面にあります。

そこで、農業経営を法人化することによって、人材確保がしやすくなったり、融資や補助金を受けやすくなる等、様々なメリットがあるため、農業法人化をお考えの方も多いです。

農業経営の法人化は、これまでの経営の仕組みを根本的に改め、経営発展を推進する「手段」として、有力な選択肢のひとつとなりえます。

また、法人化によって農業経営の可能性が広がり、事業の多角化を実現することもできます。

昨今では、サービス業・食品関連産業・建設業といった他業種の法人でも農業法人として農業に参入をしています。
企業等の農業参入について:農林水産省 (maff.go.jp)


農業法人について

農業法人とは?

農業法人とは、稲作のような土地利用型農業をはじめ、施設園芸、畜産等、農業を営む法人の総称をいいます。

組織形態としては、会社法に基づく株式会社や持分会社、農業協同組合法に基づく農事組合法人に大別されます。

株式会社と農事組合法人とで大きなちがいは?

株式会社と農事組合法人とではちがいは多々あれど、農業法人設立後に大きな影響を与えてくる可能性がある大きなちがいは、「事業規制の有無」であると考えています。

事業規制につき、株式会社では制限はありませんが、農事組合法人では農業(関連する農作物の加工等も含む)に限定されています。

例えば、①広く外部から仕入れた食材を用いてレストランや民泊を行う、②冬場に大規模に地域の除雪を受託する、③土地を買い集めて太陽光パネルを設置して太陽光発電事業(売電)を行う等といったことを、農業法人設立後に事業として拡大していくことを計画に盛り込んでいるのであれば、原則として、農業法人の形態として株式会社を選択したほうが良いことになります。

したがって、農業法人の形態を選択する際には、具体的にどこまでの事業種類を考えているのかということを最大限考慮していくことになります。

農林水産省ウェブサイト参照:農業法人について:農林水産省 (maff.go.jp)

【重要】農業法人の設立に向けてぜひ考えておいていただきたいこと

多くのウェブサイト記事においては、農業法人についてのメリット・デメリットについて解説されています。

確かに、農業法人を設立する動機づけとして、農業法人のメリット・デメリットを参考にすることは大切な要素のひとつです。

しかし、現在の農業経営と比べて単に農業法人化のメリットを享受できるからという理由のみで農業法人化をするとなれば、いささか早計です。

例えば、農業法人化をすれば、一般的には社会的信用力が上がり、社会保険制度の充実が図られ、福利厚生等の待遇改善等により、従業員を確保しやすくなるため人手不足の解消につながるかもしれません。しかし、「従業員を雇用する」ということは、「その人の人生も預かる重要な社会的責任を負う」ことになりますので、雇用を維持できる強い経営体制を必ず整えなければいけません。

すなわち、農業法人設立において、あらかじめ考えておくべきことは、「営農計画(事業計画)の作成」です。
まさに「どんぶり経営」からの脱却です。農業法人設立は、あくまで目的を実現するための「手段」であるということは強調しておきます。

「なぜ、農業法人化が必要だとお考えなのですか?」
私がご相談者様からご相談をお受けした際に必ずお尋ねする質問です。

以下、農業法人化へ向けたチェックポイントです。
① 地域農業の実態と個別農家の将来方向をどのように考えるか。
② 法人化の目的が明確か、共有できたか。
③ 法人化した場合に体質強化が図られるか。構成員の所得が向上するか。
④ どんな事業を行うのか。
⑤ 構成員の範囲をどうするか、構成員の特徴(経歴、経験、特技等)を活かした業務分担
が可能か。
⑥ 核となる農業従事者を確保できるか。
⑦ リーダーシップが発揮できる役員体制がとれるか。
⑧ 税務上複式簿記は必須となっている。

新潟県農業経営相談所「農業法人化のすすめ」参照:「農業法人化のすすめ」パンフレット | 新潟県農業経営相談所 (niigata-nsoudan.jp)


さいごに

農業法人化をお考えの皆様は農業経営が順調の方が多いです。農業経営が順調だからこそ現状維持でいけたらよいと考えるだけではなく、足元の営農計画(事業計画)をきちんと作成することで、経営(数字)が可視化でき、ビジョンも固まりますので、それを農業法人就職希望者へ発信することでビジョンに共感してくれた志の高い従業員と出会える可能性が高まることが期待できます。

また、経営の骨格である営農計画(事業計画)に基づきビジョンが明確であれば、雇用・生産対象品目・販路開拓方針・補助金活用・融資といった、いわば血肉となるところでも計画との関連性を持つことができますので、一貫性をもった農業経営実現の可能性が高まります。

ぜひ、農業法人設立に先立ち、そのメリット・デメリットを考慮しながらも、農業法人設立にかかる営農計画(事業計画)の作成にも力を入れていただきたいと考えています。

当事務所では、農業法人における設立手続を他士業の専門家と協同で進めさせて頂くことはもちろんのこと、営農計画書(事業計画書)の作成サポートにも力を入れております。

営農計画書(事業計画書)の作成サポートにつきましては、「私たち専門家への丸投げではなく、農業法人の設立をお考えの皆様との伴走で作り上げていきたい」と考えております。

農業法人設立をお考えの皆様が、設立後に具体的なビジョンをもって地域農業の維持発展に力強く貢献していかれますように、当事務所といたしましても力の限りサポートをさせていただきます。

お問い合わせ – アクシアークス行政書士事務所 (axiarqs.com)

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